お子さんのご機嫌でどうしても撮影ができないとき

普段は大きな心配ごともなく、手を焼くことも少ないお子さんでも、成長の過程や環境によって、大人から見ると困った行動をとってしまう事があります。
例えば、低気圧の日はご機嫌が悪くぐずるお子さんや赤ちゃんが多かったり、
例えば、ママが妊娠中や下のお子さんが生まれたばかりで、ご家族もお子さんもデリケートになっている場合、
例えば、七五三でお着物の締め付けがどうしても我慢できない場合、
例えば、いつもと違うメンバーで、祖父母さまなどに注目され、かわいい、かっこいい!と声かけをされて恥ずかしくなってしまった場合、逆に注目をあびてテンションが上がりすぎてしまった場合などなど・・・・お子さんたちが撮影に向き合えないときは、それなりの理由があります。

マタニティ撮影で、ママが衣装に着替えるのもダメ、カメラマンがポーズをつけようとママに触るのもダメ、もう何がなんでもダメ!となってしまうことがあります。
普段、おりこうさんな子が、衣装を脱がせようと引っ張ったり、泣き叫んだりと思いもよらない行動をとるので、びっくりされる方も多いですが、マタニティ撮影では時々、こういったケースがあります。
「一緒に写真撮ろうね、って言ってたよね?」「生まれてくるのを楽しみにしてるじゃない!」と、私も我が子に対してはそうであるように、だいたいの親御さんは、お子さんを説得しようとしたり、「なんでそんなにわがまま言うの!」「ちゃんとやらないなら怒るよ!(←もう怒っている・・笑)」などイライラをぶつけてしまいますが、もうその子の心の中は、大事なママに触らないで!という気持ちでいっぱいでそれどころじゃないんです。
おなかにチューしている写真や、みんなで手をあてているお写真などを楽しみにしていたママは、そんなお子さんのふるまいに、がっかりし、イライラし、困り果ててしまい、すいません、と言ってくださるのですが、こちらもなんとか撮らねば!という気持ちと、この子の気持ちを大事にしてあげなくては、という気持ちで内心は非常に焦りつつ(笑)強行突破せず、いったん撮影を中断してでも、お子さんの言い分を受けとめた方がスムーズにいく場合が多いです。
時間の短い撮影会形式のマタニティ撮影の場合は、基本的にはママのマタニティ撮影で、上のお子さんはご機嫌がよい場合は一緒に撮りましょう、というただし書きをさせていただいていますが、通常の出張撮影では、全く撮れなかったということはこれまでありません。

また七五三やランドセルフォトなどでは、ぐずぐずして見えても、本当はがんばりたい気持ちでいることもあります。
がんばりたいけど恥ずかしい、がんばりたいけど着物がチクチクして嫌だ!がんばりたいけどみんなが笑え笑えって言う、もう十分がんばっているのに!
そんな葛藤が見えた時には、親御さんが「もうちゃんとやらないからいいです」祖父母さまが「これ以上はかわいそうだからもういいわよ」と言っても、あと5分だけ!10分だけ!と粘る場合もあります。親御さんや祖父母さまがちゃんとしなさい、と言うことを少しだけがまんしてもらうことで、お子さんにとって撮影は遊びの延長になり、笑顔を見せてくれることもあります。
これもお子さんによりけりで、ちゃんとしなさい!と言われてピリッとカッコいい立ち姿になる子もいますし、ごほうびが待ってるよ~!という一言で気分がかわって、急にモデルスイッチの入るお子さんもいます(笑)

いずれにしても、私たちバロンフォトワークのカメラマンは、そのひとつの場面を見て、その子を判断することはありません。
またずっとその困った行動が続くわけではなく、たった1時間の中でも状況や声かけによって変わることもあれば、何年もかけてその子なりのペースで成長していくことも知っています。カメラマンとして関わるからこそ、毎日見ているからこそ気付きにくくなっているお子さんのいいところもたくさん見つけられるのかもしれません。

ある撮影会で、どうしても撮影ができなかった幼児さんの女の子がいました。
ママが妊婦さんで、おそらくおうちでは生まれてくる赤ちゃんのお話しをしたり、お姉ちゃんになることを楽しみにして過ごしていたと思います。
ですがいざ当日、知らない人たちがいて、わーっと何が何だか分からないことがはじまり、大切なママに何かしようとしている!
仮にAちゃんとしますが、Aちゃんはもうそれは必死でママを守ろうと、ほかの人の手を振り払い、ママのおなかにギュッとしがみつきました。
とても感情の優れた、優しいお子さんだと思いました。
ママにさわらないで、私にさわらないで、と全身で訴えている姿にどうしてもシャッターは切れず・・・
これは初めて撮影ができずに終わるかもしれない、けど、せっかく来ていただいたのに悲しい気持ちのまま帰したくない・・・
イベントでの撮影会だったため、どうしてもお子さんの気持ちを待ってあげられることができず、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、後日、メールをいただきました。

こんにちは!
先日お世話になったMと申します。 感謝の気持ちを伝えたくて、メールさせて頂きます。
長文となり、失礼します。
写真を撮って頂く事が出来なかった事は残念でしたが、 それ以上に、多田さんの子どもの本心を理解して寄り添ってくれた対応に心打た れました。ありがとうございました。
先日イベントの際は、子どもの気持ちと主催の方に対しての気持ちで板挟みになり、私は「 やらなきゃいけないことを早く終わらせて落ち着かせてあげよう! 」と思って気が焦り、子どもの本心に触れない的外れな言葉をかけてしまいました。
そこで多田さんが、子どもの本心をくんでくれる言葉をかけて頂いて、私自身が落ち着きました。
それで焦りを落ち着け、子どもを理解したい思いを持って対応する事が出来ました。母親の対応としてはまだまだですが、私の気持ちのスイッチが切り替わったことは大きかったです。
子どもに関わる時、主催者、母親、それぞれ果たさなければならない役割がありますが、第三者的な立場で子どもの気持ちや母親の気持ちを汲んでくださる方がいるのは、とても心強いものがあります。今回は多田さんが心優しい対応をして下さり、本当に感謝しています。良き機会となりました。
今回は残念でしたが、機会があれば、 多田さんに撮影をお願いしたいと思います。
ありがとうございました!

Mさん、お子さんの行動を責めることなく、受けとめようとされていました。
その場にいた私は、このママはすごいなぁ、と思っていましたが、やはり撮影ができなかったということには責任も感じていたので、このように温かいメールをいただき、とてもありがたかったです。むりやり撮影を続けて、お子さんもMさんも悲しい気持ちにさせなくて良かった、とホッとしました。
子どもの気持ちに寄り添う、と言うのは簡単ですが、我が子に対してはつい熱くなってしまい、なかなかできるものではありません。私はいまだに失敗が多く・・・学校の先生や習い事の先生などの手を借りてその都度修正しているので、Mさんのお子さんに対する真摯な姿が本当に響きました。

どのお子さんもひとりひとり、いろいろな性質を持っています。
これからも、ひとりひとりの輝く個性を大切に撮影をしていこうと思っています。そのためには親御さんとの信頼関係ももちろん重要です。
ご心配なことや気にかかることがあれば遠慮なくご相談くださいね。

Mさんご家族とも、今度はぜひお子さんのペースで、にこにこ笑顔で仲良くなれることを楽しみにしています。

お子さんのタイプや発達にあわせた撮影についてはこちらをご覧くださいね!

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